ルーベスト -PERSUADE- プロローグ
「遂に時は満ちたようだな・・・」
機械染みた声が空間の中でこだまする。
「手筈通り、始めるとしようか」
真っ暗闇の中、紫の影が蠢く。
今、ヒューノ大陸がほぼ全域が『闇』に呑み込まれた。
だが、ヒューノの首都となるヒュデルク地方一帯は聖域のお陰で闇の力をできるだけ抑えられている。
──これでいい。紫の影がそう独り呟く。
各地にはモンスターが消え、魔物現れ、民は今頃戸惑っているだろうな・・・。
民に魔物は倒せまい・・・。なぜなら、彼らがそう決めたのだからな・・・。
紫の影は真っ暗闇の中へ姿を消した。
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《闇》。一ヶ月程前の話、ヒューノ大陸は突如闇というモノに包まれた。
自然豊かなヒューノの地が僅か数分で草花は枯れ果て、人々は呑み込まれ、消失。
闇は数日でヒュデルク地方を除く各地方が全滅。そして、その近辺をまるで何かを守る騎兵の様に魔物が居座っている。
なぜ、こうなったかはわからない。天罰なのか、陰謀なのか。知る由もない。
だが、必ず何か根源がある筈だ。
首都ヒュデルクにて、国王の開演が開かれ、民にこう告いだ。
「闇の根源を見事突き止め、その根源を討ったヒューノの英雄に褒美をつかわす!」
この開演から多くの冒険者達が闇に包まれた地方を探索するようになる。
──皆、英雄を目指して。
闇の中へ誘われるのだ。
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